<初期研修>
当院は「鹿児島生協病院初期臨床研修プログラム」「宮崎生協病院初期研修プログラム」の地域医療研修の協力施設となっております。
地域医療研修は、鹿児島生協病院では「2ヵ月」、宮崎生協病院では「1ヵ月」の期間で位置づけられており、奄美中央病院、南大島診療所、徳之島診療所の3施設での研修を基本に研修医の希望に添った内容で計画しております。
<奄美医療生協地域保健医療研修要綱>
奄美医療生協医師研修委員会
2007年4月20日 改定
鹿児島生協病院医師研修プログラムに基づき、以下の通り研修目標を定めた。
一般目標: |
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1. |
奄美群島における他の医療機関との関係、地域の中での位置付けを理解する。 |
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2. |
離島診療所の医師の活動を理解する。 |
行動目標: |
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1. |
奄美群島の地域の特色について学び、理解する(風土に触れる)。 |
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2. |
鹿児島・宮崎民医連、奄美医療生協の歴史について学ぶ。 |
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3. |
奄美大島の医療地図を把握し、病診連携・病病連携について学び、実践できる。 |
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4. |
奄美群島内の医療ネットワークについて学ぶ。 |
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5. |
地域の方々(組合員)と交流する。 |
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6. |
奄美大島の医療ニーズについて理解する。 |
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7. |
奄美医療生協各院所の地域での役割、諸活動について内容を理解する。 |
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8. |
健康増進運動、啓蒙活動について実践できる。 |
上記目標に則し、奄美医療生協での研修を以下の通り計画します。 |
研修指導責任者・場所 |
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1.指導責任者: |
酒本 忠幸 医師 |
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2.病院研修 : |
奄美中央病院 |
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3.診療所研修: |
徳之島診療所、南大島診療所・介護老人保健施設せとうち |
研修計画・日程・場所 |
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研修期間:<8週間研修> |
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研修場所: |
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①奄美中央病院: |
<6週間研修> |
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②診療所 : |
<2週間研修> |
研修方略 |
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それぞれの施設の作成した研修要綱を参照。 |
研修評価 |
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鹿児島生協病院初期研修カリキュラムの研修医手帳に基づき評価を行う。 |
<初期研修 - カリキュラム>
当法人内の病院・診療所毎に初期研修カリキュラムを作成しております。
<奄美中央病院・地域保健医療研修>
研修方略 |
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1. |
定期訪問診察に参加し、奄美の地域、島民の生活ぶりを知る。(1, 3, 4, 5, 6, 7)(研修の柱として、全ての往診コースに参加する。ケースレポートを作成し、発表する。) 症例発表による報告 |
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2. |
外来診療単位を設け診察を行う。(1, 3, 4, 5, 6, 7, 8) (Common diseaseを中心とした診療に従事する。 カルテチェックを行い評価する。) |
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3. |
病棟医業務を行う。入院患者の担当をする。(1, 5, 6, 7, 8) (入院患者は指導医の下、主治医として診療に関わってもらう。) 退院総括によるフィードバック |
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4. |
当直を体験する。(1, 3, 4, 6, 7) 地域の小規模病院での当直を体験する。 副当直に準じて行う。外来当直は翌日カルテチェックを行う。 カルテチェックによるフィードバック |
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5. |
班会、医療講演会などの組織活動に積極的に参加する。(1, 2, 5, 6, 7, 8) |
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6. |
施設見学、奄美の歴史、地域状況などについてのレクチャーを受ける。(1, 2, 3, 4, 6, 7) |
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7. |
検査、手術に参加する。(6, 7) 奄美中央病院の医療水準を知ってもらう。 症例がある場合火曜午後の心カテ、月曜午後の手術又は木曜午後の内視鏡検査に入る。 |
研修指導 |
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【オリエンテーション】 来院初日に1日かけて行う。 午前午後の時間を使い、事務による施設案内および短時間での各職種の紹介、業務上の注意を中心にオリエンテーションを行う。 医師のオリエンテーションは空いた時間で全体のオリエンテーションも含め行う。 対象職種は医局、看護部(外来、病棟)、検査部、放射線部、薬局、栄養管理部、リハビリ部、事務とする。 |
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【病棟研修指導】 病棟の患者受け持ちは6~8名を目途に担当する。 内科患者に関しては、指導医と時間を調整し患者回診を行う。 病棟カンファレンスは毎週午前病棟医業務の時に行う。具体的な日時は師長室で調整する。 午前病棟単位は、主に処置を中心に業務を行う。余裕がある場合異常値チェック、レントゲンチェックも行うことができる。 患者担当の調整は、研修指導医師で行う。 水曜午後の総カンファレンスに参加し、症例提示を行い、その後の院長回診に参加する。 |
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【外来研修指導】 週1もしくは2単位程度外来研修単位を設ける。 診察した症例は記録シートに記載し、診療終了後にカルテバックを行い担当指導医と一緒に症例の見直しを行う(研修医から積極的に声をかけて下さい)。
特徴的な症例については、レポートを残す。 |
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【当直研修指導】 週1回程度を目途に当直研修を行う。 当直研修は、指導医と共に行う。当直に一緒に入る指導医は、ベテラン内科医もしくは外科医師とする。 診察時のFirst callは外来、病棟とも研修医とする。 病棟コールは最初研修医で対処し、必要に応じて指導医に相談する。 外来で診察した症例は記録シートに記載し、翌朝当直終了時にカルテバックを行い指導医の評価を受ける(研修医から積極的に声をかけて下さい)。 |
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【訪問診察研修指導】 症例を選び、最終的にケースレポートし、職員向けに報告を行う。 全職種向け症例報告会は研修最終週に行う。 週4回ある定期訪問診察コースの診療に参加する。訪問診察時の指導は従来の訪問診察コース担当医師があたる。 訪問診察最初の週は見学研修とし、2週目以降は研修医が主体となり訪問診察を行う。または、研修医の希望によって一人で訪問診察をする場合もある。訪問診察後の他職種とのカンファレンスに参加し、意見交換を行い症例を深める。 4つの訪問診察コースの中から担当症例を1症例選び、ケースレポートを作成し最終的に職員参加の症例報告会で発表する。全職種向け症例報告会は第6週目に予定する。 奄美中央病院が訪問診察で網羅している地域を理解するため、6週間の中で全コース最低1度は訪問診察に参加する(奄美市笠利や大和村コースも含める)。 |
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【研修指導会議】 毎週金曜の夕方に指導医と研修医で打ち合わせを行う。 打ち合わせる内容は、その週の研修内容と次の週の予定を相談する。 隔週である医局会議の中で、研修状況について報告、確認を行う。 研修3週目前後に研修の中間まとめを行う。 研修最終日に研修総括会議を行う。 |
研修評価 |
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研修最終週に研修総括会議を開く。 鹿児島生協病院初期研修プログラムの研修医手帳内の研修評価表に準じて評価を行う。 研修医および指導医は事前に評価記録を入力し、会議で提示する。 参加対象者は指導医、看護師長および病院事務幹部とする。 |
その他の留意点 |
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組合員、病院職員との交流の場を作ります。積極的に参加ください。 班会、組織活動などの企画については、現場との調整を行います。 症例により時間外エマージェンシーコールを行います(呼び出し手当てをつけるかは、その時の指導医で判断下さい)。 毎週水曜日夕方より、読影会を開催しています。レントゲン読影技量を向上する上で大変有意義と思われますので、積極的な参加をお願いします。 |
研修週間スケジュール |
(第1週目) |
初日にオリエンテーションを終了する。歓迎会開催予定。 |
(第2週目) |
この週から当直に入る予定。班会参加を予定します。 |
(第3週目) |
中間総括開催予定。発表症例を決定します。 |
(第4週目) |
早朝学習会担当予定。 |
(第5週目) |
症例の作成状況を確認します。 |
(第6週目) |
症例報告会、送別会を予定します。 |
(最終日) |
総括会議開催予定です。 |
<南大島診療所・地域保健医療研修>
一般目標 |
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1. |
医療全体の中のプライマリ・ケアや地域医療の位置づけと機能を理解する。 |
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2. |
診療所で診る患者の疾患や問題が病院の入院患者と異なることを認識し、病棟における疾患のマネジメントではみられない患者へのアプローチの仕方を学ぶ。離島診療所の医師の活動を理解する。 |
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3. |
離島診療所の医師の活動を理解する。 |
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4. |
奄美群島、特に南大島地区における地域医療連携(医療・介護福祉等)を学ぶ。 |
行動目標 |
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1. |
南大島地区における地域医療連携(医療・介護福祉等)を学ぶ。 |
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2. |
医療講演会・班会などを通して組合員さんや地域住民との繋がりを強める。 |
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3. |
奄美群島、特に南大島地区の風土・文化に触れる。 |
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4. |
地域にあった医療のニーズをみつけ、対応していく柔軟性を養う。 疾患(医学的問題点)のみならず、生活者である患者様に目を向けて社会的問題点を挙げ、解決に導くよう努力する。 |
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5. |
カンファレンス等を通してチーム医療を実践する。 |
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6. |
診療に必要な情報を必要なリソース(教科書・2次資料・文献検索)を入手し患者様に説明し、かつ医療活動のフィードバックを行う。 |
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7. |
スタッフ学習会に参加し、機会があれば発表する。 |
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8. |
患者様の問題解決に必要な医療・福祉資源を挙げ、各機関に相談できる。 |
<徳之島診療所・地域保健医療研修>
一般目標 |
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1. |
医療全体の中のプライマリーケアや地域医療の位置づけと機能を理解する。 |
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2. |
診療所で診る疾患や患者の問題点が病院のそれとは異なることを理解する。 |
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3. |
病棟とは異なる外来・在宅訪問診療での患者へのアプローチ法を学ぶ。 |
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4. |
保健予防活動への理解を深める。 |
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5. |
離島診療所での医師の活動を理解する。 |
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6. |
離島診療所での他職種との関わりを通じ、チーム医療の重要性を体感する。 |
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7. |
奄美群島、特に徳之島における地域医療連携(医療機関・介護施設・訪問看護・ケアマネージャー)の重要性を理解する。 |
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8. |
組合員との繋がりの中で診療所が地域において果たす役割を理解する。 |
行動目標 |
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1. |
奄美群島、特に徳之島の風土と分化に触れることができる。 |
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2. |
外来での一般診察や在宅訪問診療で患者へのアプローチを経験することができる。 |
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3. |
患者マネジメントにおいて、疾患(医学的問題点)のみでなく、生活者としての患者の立場を理解し社会的問題点を挙げ解決に導くための努力をすることができる。 |
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4. |
診療に必要な情報を適切なリソース(文献検索・資料・インターネット方法)を用いて入手し、患者へ説明し自身の理解も深めることができる。 |
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5. |
合同カンファランスや回診等を通してチーム医療や在宅での訪問看護・介護等の社会資源を活用する重要性を理解することができる。 |
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6. |
患者の問題解決に必要な医療・介護資源が発生した場合、各医療機関に相談することができる。 |
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7. |
老人ホーム回診や乳幼児健診、予防接種、職場健診等へ参加し、保健予防活動への理解と重要性を認識することができる。 |
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8. |
スタッフとの学習会へも積極的に参加することができる。 |
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9. |
医療講演会や班会へ参加し、組合員や地域住民との繋がりを持つことができる。 |
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10. |
上記において指導医・スタッフへの報告・連絡・相談を適切に行うことができる。 |
研修方略 |
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1. |
外来診療単位を設け、指導医の助言のもとで診察を行いCommon diseaseを中心とした診療を行う。毎回カルテチェックを行い、フィードバックを行う。なお紙カルテであり始めのうちに見方、記載方法や処方箋の記載法、保険内容の確認等を指導する。 |
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2. |
定期訪問診察に同行し指導医の指導のもと診察を行い、徳之島の地域住民・患者の生活を知る。また訪問看護ステーションとの連携が必要なケースでは、訪問看護との連携をどのようにとるか経験する。 |
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3. |
宅直業務に関しては積極的な参加の必要はない。 |
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4. |
老人ホーム回診や乳幼児健診・学校医健診に参加し院外での診療所医師の役割を知る。 |
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5. |
診療所での職場健診、予防接種を担当する。 |
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6. |
スタッフの学習会へ参加し場合によっては講師を務める。 |
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7. |
班会・医療講演会などの組織活動に積極的に参加し講師も務める。 |
研修評価 |
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1. |
診療所での研修開始にあたり指導医との簡単なインタビューを実施する。人柄やプロフィール、今回の研修目標について意見をだしてもらう。またこれまでの初期研修を振り返り、自信がある点、苦手な点、改善すべき点について自己評価して記述してもらう。 |
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2. |
研修医の設定した目標を十分に聞いた上で、本人の研修期間や能力等を加味して目標を指導医とともに決定する。 |
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3. |
研修中は研修医からの相談や報告を受けながら、スタッフとともに指導医がこまめに観察し、その都度適切なアドバイスとフィードバックを行う。 |
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4. |
1週間の終了時毎に振り返りの会を設ける。良かった点・きつかった点・辛かった点・改善すべき点をざっくばらんに話し合い、次週に向けて目標を再設定・確認する。 |
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5. |
最終週の週末にカリキュラム全体を通して研修医の自己評価と指導医の評価を提出する。一般目標と行動目標がどれくらい達成できたか判断する。またカリキュラム内容について改善すべき意見が出されれば変更も検討する。 |
今後の初期研修や医師としてのライフスタイル等について意見があれば出してもらい、今後の研修内容・方法について考えるきっかけを持つ。 |